完成見学会とは、工務店や設計事務所が、建築主から許可を得て、完成した住宅を、日にちを限定し、一般の人が見学できるように準備したものです。一般的に、建物が完成し、建て主が引っ越しするまでの期間の週末に開催されることが多いかと思います。完成見学会の会場として選ばれる住宅は、工務店や設計事務所が、「建物に自社の特長がはっきり表現されている」と感じていたり、「自社のデザインセンスを見学者に明確に伝えることができる」と感じているものが多いと思います。つまり、その会社の最新の施工事例です。
　別の場合として、建築条件付の分譲地に建てられたモデルルームでの完成見学会というものがあります。建築条件付の分譲地とは、土地の販売条件として、建築を依頼できる会社があらかじめ決められているものを言います。分譲される土地が複数ある場合、その分譲地に最初に建てられた住宅で、完成見学会が開催されることがあります。この住宅は、一定期間モデルルームとして利用されることから、割引価格で購入できる場合があります。
いずれの場合も、特徴として、モデルルームのような「展示のための住宅」ではないので、より現実的な仕様の住宅を見ることができます。

　完成見学会時、建物内には、家具や荷物がない状態で行われることが多いので、収納スペースなども含め建物の全てを見ることができます。実際に建物を訪れることで、床の色や建具などの仕様から、間取りの工夫や動線の設計、建物の配置まで、気になる部分をくまなく見て、体感することができます。ホームページや雑誌でチェック済みの場合、実物を見てそのイメージを確かめることができます。工務店や設計事務所は、見学される方のために、間取り図面や、採用した設備のカタログ資料などを準備しています。それらをパネルなどを使って、わかりやすく各部屋に展示している場合もあります。お部屋を見て回る時には、担当者が、設計の意図やこだわりなどについて必要に応じて説明をしてくれますし、簡単な打ち合わせができるように、即席の商談スペースを設置したりもしています。このように、住宅を単に見るだけでなく、そこにある商材や部材の仕様について、詳しく知ることができるよう準備が行われています。

　完成見学会は、工務店や設計事務所にとって大切な営業手段です。一般的に、建築会社は、施工が可能なエリアが限られています。そのため、完成した建物の近隣の方に、会社の実績と特長を知ってもらうことが、継続的な仕事確保のために一番重要なことで、完成見学会は、その目的にあった最適なイベントなのです。見学に来られる方は、建築主のお知り合いの方であったり、現在商談中の方だったりしますが、これから家を建てたいと考えている新規のお客様ももちろん対象です。建物を気に入ってもらえれば、その後の商談がスムーズに進むことは言うまでもありません。

　完成見学会は、自分が建てたい場所で住宅を建ててくれる工務店や設計事務所を探す上で、一番濃い情報が得られる機会でしょう。完成見学会の中には、建築主の方が、出席されていて、完成までの流れや、その過程でのやり取りやこだわりについて、直接具体的な話を聞ける場合もあります。完成見学会に行くには、工務店や設計事務所に直接問い合わせるか、ホームページをチェックするのが良いと思います。不定期に行われるため、行きたいタイミングで開催していない場合もあります。工務店や設計事務所にもよりますが、住んでいるお客様が許せば、過去に建築された住宅を訪問させてもらえることもあります。また、完成見学会の情報からは、「実際にどれぐらいのお客様がその会社に依頼しているのか」や、「完成後のお客様との良好な関係」なども間接的に知ることができます。このようなことから、完成見学会は、建築を依頼しようと考えている場合、早い段階から、聞いておいて損はない情報といえるのではないでしょうか。