共働きで日々忙しい若いご夫婦と子供二人のために計画した、敷地全体にはり伸びた廂(ひさし)が特徴的な3階建ての住まいである。
クライアントは生活スタイルや家族構成が将来変わっていく可能性も踏まえ、部屋数(5部屋)や多くの収納、ガレージ、エレベーターなど備えた密度高くスペックの大きな住まいを希望されていたが、対する敷地面積にゆとりはなく、要望を合理的に詰め込んだだけの窮屈さからいかに脱却するかが課題であった。
そこで、希望するスペックを設えつつ限られたスペースの中でも適切に余白を設けることで機能性と空間性の両立を図った住まいを提案した。
敷地一杯のボリュームを立ち上げ、廂を残して建物部分を欠き取る。
通常地面に並ぶ室外機も廂上へ上げ、敷地いっぱいにはり伸びた廂下の地面が四周解放される。
そこにアプローチや前庭、通路、坪庭、駐輪スペース、ビルトインガレージなどをあてがい、敷地全体の平面利用を図った。
また2、3階の欠き取られた空間は周囲との隙間となり、圧迫感の軽減や風通し等の環境に寄与している。
南側(敷地奥側)隣地は1m程地盤が低く、斜線制限の兼合いより上空は半永久的な抜けとなる。加えて北側道路幅員も余裕があることから、南北に抜けを作れる敷地であった。
南北に通して長手に設えたLDKはこの敷地性を最も現している。
加えて光溜まりとなる3層吹抜けの階段室を南側に設け、そこに家への愛着にも通じるアイコンのような企図でデザインした階段をかけた。
要望を整理し必要十分に備えた上で、法規制も含めた敷地特性と応答し、適切な余白を設け、詰め込んだだけではない豊かさを実現する。
そんな都市型住宅の在り方を意識した住まいである。
| 構造 | 木造 |
|---|---|
| 階数 | 3階建 |
| 敷地面積 | 35坪 |
| 延床面積 | 63坪 |